***なぜ、小さな7坪ハウスを建てようと思ったのか。その理由はコチラの記事をご覧ください。
東京・豊島区の東長崎にある7坪ハウスは、たった10坪の土地に建つ7坪の広さしかない、自宅兼ショップ。
空間認知能力が働かない、狭小住宅の間取り
実際に10坪の土地に家を建てると決まった時点で、私がつらつらと書いた間取りはというと。。。
- 1階・・・ショップ。カフェスペース付きで、なんと中庭もある!
- 2階・・・LDK。なんと、ミニ和室スペースとベランダもある!!
- 3階・・・ベッド「ルーム」。なんと「ウォークイン」クロゼットもある!!!
今なら「入るかい!」と速攻でツッコミを入れるところだけど、最初は空想が膨らみすぎて広さ(狭さ)を把握できないのだ。
そして、ある程度設計が進んでいくと、今度はその狭さに愕然として、果たして人間らしい暮らしができる家なのかと不安になってくる。
空間認知能力に乏しい私の問題? と思っていたけど、実はそういう人は意外に多いようだ。
狭小住宅「仲間」とにわかオープンハウスがはじまる
我が家はお店(北欧雑貨の店 Fika)を兼ねているので訪ねてきやすいらしく、雑貨のみならず、家に興味を持って来てくださるお客さんも多い。
なかには今家を建てている、今後建てたいと思っている、という方もいて、こんな会話がスタート。
お客さん:あのー、実は今家を建てようと思っていて。 私:そうなんですか! 狭小住宅ですか? お客さん:はい。土地が15坪しかなくて、家も10坪くらいです。 でも、狭すぎて本当に住めるのか心配で・・・。 私:ウチより全然広いじゃないですか。狭小住宅は実物に近い広さを見ないとイメージしにくいし、 不安ですよね。よかったら、家の中、見ていきます? お客さん:えっ! いいんですか?
と、にわかオープンハウスが始まることもある(家と住人の状況によるので、常にお見せできるわけではありませんが^^;)。
みなさん、本当に喜んでくれるので、「7坪ハウス自慢」が趣味の私もうれしくなる。
そして、たいていみなさん「わー、思ったより広い!」という感想。
狭い7坪ハウスが広く見える理由
そうなのだ。7坪のくせに「狭くない」ではなく「広い」のだ。
もちろん物理的には狭い。でも広く感じる家はできる。
7坪ハウスはその最たる見本だと勝手に思っている。
なぜ、7坪ハウスは広く見えるのか?
それは小さな家なのに、どでかいスケールの「棚」と「窓」と「天井」の3つがあるから。
このBIG3が7坪ハウスをとても豊かな家にしている。
7坪ハウスの南側の空間はほぼショップスペース。素人の頭では1階がショップという間取りしか思い浮かばなかったけど、タテ斬りにしてくるとは「さすが建築家!」と言いたくなる斬新な設計だ。
ショップ部分の天井は5m超。そのおかげで、たった4畳のショップスペースが、なんとも広く感じる空間になっている。
そして、このショップの天井高のおかげで実現したのが、1階から3階まで貫く「大きな窓」と「大きな棚」。
どでかい窓の大きさは、なんと3.6m! 超BIGな窓は南を向いているので、自然光がたっぷり入ってくる。
大きな棚は1階部分は商品の陳列棚で、2階部分は日々の暮らしの道具が並ぶ住人の食器棚。
設計段階でも、「狭い家なので兼用はとっても便利。すごい発想力」と感心していたけど、実際に住んでみてそれ以上に実感しているのは、この棚があるからこそ、開放感、明るさ、風通しのよさ、つまり7坪ハウスの心地良さにつながったんだ、ということ。
住居部分の3階の天井高をとるため、7坪ハウスの1階(ショップ以外)と2階の天井高は最低限の210cmにおさえている。240cm程度が平均なので、だいぶ低い。
それでも、まったく圧迫感を感じないのは、視線がショップ空間に抜けているから。棚に背板をつけて区切ってしまったら、2階はかなり狭い空間に感じると思う。
思い描いていた理想の家とはかけ離れていても、住み心地バツグンの7坪ハウス
家を建てる前はウォークインクロゼットがあって、中庭があって、なんて細かい間取りをイメージしていたけど、実は建築家さんに依頼した際の要望は、とてもシンプルだった。
「開放感があって、明るくて、風通しのいい家」
これが実現したのもBIG3の功績が大きい。
大きな棚からショップ空間、そして大きな窓から外へとつながる7坪ハウス。
狭い家こそ、いろいろな壁をとっぱらって外に開き、一見無駄とも思える空間を上手に利用して、視覚マジックをかけることをおすすめする。