ヴィンテージだからこそ感じる温かみと重厚感。日本人が、北欧デザインArabiaを代表するウラ・プロコッペを好きなわけ

ヴィンテージだからこそ感じる温かみと重厚感。日本人が、北欧デザインArabiaを代表するウラ・プロコッペを好きなわけ
2019年7月2日

食器やファブリックなど、プロダクトデザインから北欧を知り、暮らし方や文化を含めて北欧ファンになった人は少なくないのではないだろうか。

北欧ヴィンテージ食器から、北欧を知る

私自身、初めての北欧との出会いは、スウェーデンのセラミックメーカー・ホガナス(Hoganas keramik)の「食器」だった。北欧デザインとは知らず、気に入って集めだしたのだけど、あとで調べてみたら北欧のものだった。

それを知ってから、「北欧」「食器」「デザイン」などでネット検索しているうちに、新しいものよりも古い北欧ヴィンテージの食器に惹かれるようになり、ヴィンテージのカップ&ソーサーやティーポットなどを集めるのが趣味になった。

さらに、北欧の文化に興味を持つようになり、店名に「Fika」と名付けてしまうくらい、今でも北欧の人々の暮らし方に心を動かされることが多い。

見ているだけで気分が上がる、Arabiaのティーカップ

大切に使い続けているヴィンテージ食器はいくつかあるけれど、やはり初めて買ったArabiaの「コーラル(Koralli)」にはとても愛着がある。

Koralliとは、フィンランド語で「珊瑚」の意味。淡いピンクをメインにしたペイントは、やさしく大人っぽい印象だけど、どこかかわいらしさも感じる絶妙なカラーだ。

逆にフォルムは力強く、どっしりと落ち着いた佇まい。実際にしっかりしたつくりで、ちょっと重い。この重さが妙に安心感を与えてくれる。

私にとって、使うときはもちろん、見ているだけでも気分が上がるアイテムだ。

KoralliのデザイナーはArabiaを代表する陶芸家、ウラ・プロコッペ。
最初に手にしたのが「Koralli」だからか、私がもっとも好きな北欧のデザイナーだ。

プロコッペは1968年に47歳という若さで亡くなってしまったが、多くの名作を残している。

なかでももっとも多く、そして長く愛されているのが丈夫でリーズナブルなふだん使いの食器「ルスカ(Ruska)」シリーズ。

このRuska、ふだん使いで使用頻度が高く、食洗機でバシバシ洗っていたからなのか、カップやプレートなどのバックプリントが消えてしまっているものが多い。ときどき、お客さんに「本物ですか?」と聞かれることがある(笑)。

Ruskaは私も好きなシリーズだ。冬になると、なぜかRuskaのティーカップでコーンスープが飲みたくなる。

日本のデザインに影響を受けた、北欧デザインのティーポット

そして、もうひとつ、大好きな作品が「GAシリーズ」のティーポット。

北欧諸国の人々、とりわけフィンランド人は日本人と国民性が似ていると言われる。
急須のようにも見えるこのポットが、日本のデザインからインスピレーションを受けて誕生したと知ったとき、北欧の人々と日本人の感性が近いことを実感した。

その他にも、ウラ・プロコッペの作品には北欧テイストの中に日本っぽさを感じられるデザインが少なくない。

ころんとしたフォルムを見ていると、つい撫でてしまうくらい、本当にかわいい佇まいをしている。

はじめて、買い付けという名の北欧旅行に出かけたときの珍道中を綴った『好きなことだけ』(Pヴァイン)の表紙撮影のとき、一番好きなヴィンテージ食器を聞かれ、GAポットをあげた。

そうして、表紙に選ばれた写真が↓これ。大事そうにポットを抱えているのは実は私だ。

長い時間、北欧の人々に大切にされ、今は遠い異国・日本の7坪ハウス(Fika)までやってきたウラ・プロコッペの作品たち。これからも大切に使っていこうと思う。

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