「Påsk/ポスク(イースター)の断食前に食べる栄養価の高い食べもの」から「春を告げるシーズン菓子」にかわっても、スウェーデン人がこよなく愛するトラディショナルなFika菓子「Semla/セムラ」。
スウェーデンのポスク(イースター)
1月から4月中旬くらいまでしか食べられない、スウェーデンの季節菓子「Semla/セムラ」。年明け早々の「スウェーデン文化に触れるワークショップ」は、2カ月続けて、計3回の「セムラをつくろう」を開催しました。どの回も満席で大反響でした。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました!
昨年末のクリスマス同様、講師の見瀬理恵子さんが、かわいくポスクの飾りつけをしてくれました^^
ポスクのモチーフは、「復活」=「新しい生命の誕生」を象徴する卵とひよこ(にわとり)。そして、テーマカラーは「イエロー」です。黄色いテーブルクロスを敷き、黄色い水仙「Påsklilya/ポスクリリア」や「Påskägg/ポスクエッグ」を飾ります。
ポスクエッグは、「GUSTAVSBERG/グスタフスベリ」の有名なデザインが描かれた見瀬さんオリジナル。素敵です!
窓辺には、木の枝にカラフルな羽を飾った「Påskris/ポスクリース」。本場スウェーデンでは、まだ葉っぱの生えていない白樺を使います。
色のなかった寒くて暗い冬が終わりを告げ、どんどん日が延びていく春。それを象徴するかのようなポスクリースが、見瀬さんは大好きなのだそう。
もともとセムラを食べる日は、この日だけと決まっていた!
今回も、ポスク、そしてセムラについて楽しいお話をお聞きしました。
今ではポスクは「春の訪れを祝うイベント」であり、セムラは「春を告げるシーズン菓子」として定着していますが、もともとは、ポスクはイエスキリストの復活を記念する行事であり、セムラはポスク前の断食期間直前に食べる、栄養価の高い食べものでした。
そのため、セムラを食べる日は、四旬節(断食期間)が始まる前日の火曜日と決まっていて、この日をスウェーデンでは「太っちょの火曜日=Fettisdage/フェットティースダーゲン」と言います。栄養価の高いものをお腹いっぱい食べて、カロリーを蓄えたのです(フェットティースダーゲンは毎年異なり、今年は2月25日)。
もちろん、現在は断食をする人はいませんが、年が明けると街中のベーカリーやパティスリーにセムラが並び始め、スウェーデン人たちは春の訪れを実感します。
セムラ=カルダモン入りのパン+アーモンドペースト+生クリーム
日本でも知られるようになったセムラですが、見たことはあるけど食べたことはないという人は多いはず。一見、シュークリームのように見えますが、生地はパンです。
パンにはカルダモンが練り込まれ、中にはたっぷりのアーモンドペースと生クリーム、これがセムラの定義です。
粗く砕いたアーモンドを入れるのは、数年前にできた新しいレシピなのだそう。スウェーデンのカフェで食べた、アーモンド入りのセムラがおいしかったということで、見瀬さんがアレンジレシピを考えてくれました。たしかに、カリカリとした食感が、よりセムラの美味しさを際立たせていました。
いつものように、見瀬さんのデモンストレーションを見てから、参加者のみなさんにもつくっていただきました。
ベーシックなセムラと、桜セムラの2種類。
ベーシックセムラのアーモンドペーストは皮のついたアーモンドを使用しているので色が濃く、きな粉のような香ばしい味でした。
桜セムラのアーモンドペーストは皮をむいたものを使用。そこに刻んだ桜の塩漬けを練り込んでいます。これが白あんのような風味でかなり美味でした。
そして、ベーシックには真っ白な生クリームを、桜にはピンクに着色した生クリームを絞り、カットした部分のパンをかぶせてできあがり!
みなさんには、Fika用に1つ、お持ち帰り用に2つ、計3つのセムラをつくっていただきました。これだけセムラが並ぶと、パン屋さんのようです。
ご自身でつくったセムラと、準備したクッキーでFikaです。今回は初のスウェーデンの方のご参加があったり、夜の回を開催したり、どの回も楽しい時間でした^^
あちこちで「今年、No.1のセムラ」を決めるイベントを開催
最後に、セムラ情報をひとつ。
毎年、雑誌などでは「今年、No.1のセムラコンテスト」が展開されます。ベーシックなものだけでなく、今回のワークショップでも作った桜セムラのような味に変化をつけたものから、食べやすいように形を変えたものなど、さまざまアイデアセムラが毎年誕生しています。
この時期にスウェーデンに行く機会がある方は、ぜひセムラの食べ比べをしてみてください。